椅子取りゲームの時間になった。指導員は机の横にある椅子を指差しながら〇〇君に「それを持ってきて」と言った。すると、〇〇君は自分の遊んでいる玩具を持ってきて、指導員に手渡した。どうして○○君は椅子じゃなくて、玩具を持ってきたのか?〇〇君の様子をよく観察すると、〇〇君は自分の遊びに夢中になり、指導員の言っている「それ(椅子)」に注意を向けていなかったため、「それ」=「椅子」という意味まで気付かなかったことが分かった。日々の療育の中では、このような興味深い場面がよくあるのではないかと思う。
よく考えると、この場面では、子どもが指導員の言っている「それ」を「椅子」だと気づくために、共同注意が必要である。共同注意は、他者と同じ物事に注意を向けて、共通認識を形成することを意味する。共同注意は他者とコミュニケーションをとる時や、他者理解、他者と気持ちを共有するなど、様々な面で重要で不可欠な能力の1つだといえる。定型発達の子どもは、1歳台頃から共同注意が自然に成立できるようなるが、自閉症児は社会性など様々な問題を抱えているため、共同注意の成立が難しく、専門的な支援が必要である。
ツボミ園の放課後等デイサービスでは、国内の大学と連携し、特別なニーズを有する就学後の自閉症児に共同注意の支援を行っている。日々の療育の中で、人と目を合わせながら挨拶をすること、言われた物を間違いなく取ってくること、絵本の読み聞かせの時に絵本の面白さを皆と一緒に味わうなど、できることがたくさん増えることがこれからの大きな楽しみだね。